わが町を語る(緑豊かな公園) |
私は東京から電車で1時間、埼玉県久喜市に住んでいます。ここは関東平野の真ん中。山もなく起伏の少ない、変哲のない田舎町です。でも、私は素朴なこの町が好きです。とりわけ、緑の多いわが家の周りの風景に、こよなく愛着を感じています。 家の庭からは弦代(つるしろ)公園を借景とした広々とした公園が広がっています。公園には団地開発と共に作られた調整池があり、池の周りには1200メートルの遊歩道があります。ここは、市民ランナー(現在はプロに転向)として活躍した、川内優輝選手のトレーニングの場として使われていました。 公園が開設して38年になります。今では樹木が生い茂り、立派な森へと成長しました。春先には柳の目吹、山桜、レンギョウ、ヤマボウシなど季節を感じる花の数々で彩られます。 公園の周りは、ボランティアの方々が花を植えたり、草刈りをしたりといつもきれいに整備されています。水辺には鴨類、アオサギ、カワウなどの水鳥がいます。亀が甲羅干しをしながら水鳥と遊んでいます。 そして、信号を渡るとその先に沼井公園があります。この公園も団地開発と共に作られた調整池です。 この公園の特徴は、調整池とその周辺の自然環境です。調節池には、野鳥観察用の設備やビオトープ(生物の生息空間)が整備されており、水鳥などの生物を自然まま観察することができます。生き物がずっと暮らしていける大切な場所を維持するために、制限があります。柵内は入ることが出来ません。勝手に植物を植えることは禁止されています。もちろん魚釣りはできません。まさに生き物の天国になっています。カワセミやカルガモ、ヒヨドリ、コゲラなど約20種類の野鳥が観察されています。 公園には遊歩道(600メール)、照明付きのテニスコート2面、児童遊具などの施設もあります。市民の憩いの場として親しまれています。 ところが、この公園に今問題が起こっています。4月頃から白鷺が住み着き、鳴き声や糞害が発生し周辺住民の生活に影響を与えています。この問題は、BS-TBSの「噂の! 東京マガジン」という番組で放映され、広く知られるようになりました。鳥獣保護法で捕獲して駆除することは法律で禁止されています。今のところ有効な方法はありません。自然と人間の共生の難しさを示す一例と言えるでしょう。 余談ですが、私は公園のテニスコートでプレー中に脳梗塞を発症しました。2009年の70歳の時です。幸い仲間のすみやかな対応によって、市内の病院に運ばれ、血栓溶解治療(t-PA治療)を施術することができました。この治療は時間との戦いで、発症してから3時間以内(今では4時間半に緩和された)に処置しなくては効果が少ないとされています。僕の場合はかなり重篤な症状で、少しでも治療が遅れたら、後遺症のみならず一命も落とすところでした。18日間の入院加療で後遺症も残らず、日常の生活を送れるようになりました。テニスの仲間は今でも感謝しています。 さて、私はここに移住して38年なります。あっという間に歳月がたちました。「光陰矢の如し」「歳月人を待たず」といいます。時間は急ぎ足で過ぎていきます。あと何年生きるか分かりません。いつか訪れる最期まで、老人ホームの世話にならず、自分の家で花や鳥の美しさを楽しみながら、往生したいと願っています。 |
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