「雑感」富士山に思う

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梅雨が開ければ富士山のハイシーズンが始まる。そこで富士山にちなんで、まとまりのない感想を書き綴った。

荘厳な富士山の雄姿は、古代から多様な信仰の対象、心のふるさとして日本人に崇拝されてきた。毎年30万人以上が富士登山をしていると言う。近年、インバウンド需要の高まりとともに、外国人観光客の間でも人気を集めている。しかし、ゴミの放置や登山道の横断、弾丸登山、頂上での騒音などが目立ち始め問題になっている。遠くから見たら優雅な富士山も近くでみると、汚い山になっている。

     夏山の雑踏

僕と富士山とのかかわりは60年以上前にさかのぼる。毎年11月になると富士山を訪れていた。冬山登山に備えての訓練である。主に厳しい寒さに負けないような耐寒体力づくり、そして雪上歩行、アイゼン歩行、ピッケルワーク滑落停止、雪崩捜索など、反復して様々な技術を習得していた。場所は富士の大沢コルで行なっていた。

富士山の西側斜面に位置する「大沢コル」は、標高約2,500mの高地にあり、冬山登山訓練場所として古くから利用されているところである。(20代前半、僕は登山に没頭していた時期があった。)

僕たちは訓練を終えテントに入った。そこで短波放送を聞きながら天気図を書いていた。今ではスマートフォンでニュースや天気予報を簡単に取得できる。短波放送で天気図を書くなんて、このアナログ性に昭和の浪漫を感じる魅力的なものだ。でも、天気図はすっかり忘れてもう書けない

短波放送聞いていたら突然、臨時ニュースが入ってきた。アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが、本日(1963年)午後12時30分(日本時間11月23日午前6時30分)頃、テキサス州ダラス市内で銃撃され、死亡したとの報道であった。

アメリカ史上人気の高かったケネディー大統領

世界中を震撼させたこの蛮行に、僕は大きな衝撃を受けた。僕たちの世代は、アメリカを範と仰いで成長した。アメリカは自由主義、民主主義、富める国、文明国との教えを受けて育った。

戦後の物不足にあえいでいた日本人にとって、アメリカは羨ましい存在であった。進駐軍のばらまいた、キャンディーやチョコレートを拾って食べた僕たちには、余計その感が強い。

しかし、その裏には、複雑な感情が渦巻いていたことも事実である。敗戦という屈辱を味わった日本人は、アメリカ兵から施しを受けることに抵抗を感じていた。

歳月は流れ、ケネディ大統領の暗殺事件から38年経った、2001年9月11日アメリカは同時多発テロに見舞われた。一連の攻撃で日本人24名を含む2977名が死亡した。東西冷戦の終結以降、唯一の超大国とも言えたアメリカの中枢が攻撃された。この事件をきっかけにして、アメリカの繁栄が一変した。そして、世界は混とんとした時代となった。

テロ後、アメリカは報復としてアフガニスタンへの侵攻を開始し、その後イラク戦争へと発展した。これらの戦争は多くの犠牲者を生み、世界中にテロに対する恐怖を広げた。一方、アメリカ国内では、イスラム教徒に対する差別や偏見が強まり、社会の分断が進んでいった。同時多発テロは、アメリカだけでなく世界全体に大きな変化をもたらした

                 9.11の悲劇

パキスタンを旅行した折に、9・11の首謀者オサマ・ビン・ラディンが米軍のよって殺害された。その現場の近くに行ったことがある。パキスタンの地方都市アボッターバードに潜伏していた。

ビン=ラディン容疑者が殺害された住居

話は変わる。ケネディ氏の葬儀で、長女キャロラインちゃんがジャクリーン夫人の手をしっかり握りしめ、悲しさを堪えていた映像が世界に流された。この姿は人々の涙を誘った。

歳月は流れキャロライン・ケネディ氏が駐日大使として2013年11月に赴任した。史上初の女性駐日アメリカ大使となった。彼女の顔に刻まれた皺が、時の流れを感じさせた。美容整形先進国のアメリカのこと、本人が望めばヒアルロン酸注射やボトックスなどで美肌を手に入れることはたやすいはず。けれども、年相応の自然な皺を隠そうとしない。生まれながらのセレブは不自然な美容整形をしない。これこそ本物である。(皺を隠さない自然体は、女優倍賞千恵子さんも同じ考えのようだ)

       気品がある

富士山のようにノーブルで、美しい雰囲気のあるキャロライン大使によって、日米関係のすそ野が広がった。 

余談だが、後年ワシントンのアーリントン墓地を訪れた。その時ケネディ大統領のお墓を参拝した。遺骨は永遠に消えることのない炎とともに眠っていた。その墓は名前と没年だけのシンプルなものであった。

    アーリントン墓地             ケネディーの遺骨は静かに眠る

終わりに、富士山は、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている貴重な自然資源である。日本の至宝ともいえる富士山を人類共有の財産として、次の世代に引き継いで行くことが、僕たちの役割ではなかろうか。

つまらぬ雑感にお付き合いいただき、ありがとうございました。
画像はネットを拝借しました。

2024年7月9日 篠﨑春彦

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